第49回 日本医真菌学会総会開催にあたって

第49回日本医真菌学会総会
会 長 西 村 和 子
(千葉大学真菌医学研究センター)

このたび, 2005年の日本医真菌学会総会を千葉で開催させて頂くこととなり, 身に余る光栄と存じます

千葉ではこれまで, 第18回(1974年)が新井 正先生(現千葉大学名誉教授), 第40回(1996年)が宮治 誠先生(現千葉大学名誉教授)により開催され, いずれも 「真菌講習会」が併せて実施されました. この度は「伝統と先端の融合」のテーマのもとに, 「病原真菌・放線菌供覧会」を開催致します.

21世紀も5年目に入り, 医真菌学の領域におきましても解析技術はいっそうの進歩を遂げておりますが, その一方で基礎真菌学や真菌症の診断における伝統的手法の重要性に改めて気付かされる今日です. 先端的な分析手法によって解析対象を分子のレベルへと先鋭化させると同時に, 病原真菌の生物学および感染時の真菌と感染宿主に起きる生命現象を全体として正確に知り, 理解する必要がありましょう.特別講演としてシドニー大学のDr. Wieland Meyerにクリプトコックスの最新の分子分類と疫学をお話しいただき, シンポジウムとしては皮膚科領域の真菌感染症はもとより, 特に難治性の深在性真菌症, 分子医真菌学, 真菌感染と自然免疫, 外科系の救急・集中治療領域における真菌感染症などの話題を取り上げました.

今回, 一般講演はポスター発表に致しましたが, 幸いにも136題もの御応募をいただきました. ポスター賞選考には組織委員会とは別にポスター賞選考委員会を設け, 基礎から臨床の種々の分野から優れたポスターを厳正に選ぶとともに, 将来が期待される35歳以下の若手研究者のために, 若手枠を設けました.また, 統一テーマのもとに「選抜ポスター」を4セッション設け, 口頭発表は極力短くして総合討論を主にお願いする事に致しました.

現在, 生物遺伝資源の重要性が広く認識されるようになり, 特に生物多様性条約以降は, 病原微生物も研究および開発のための知的財産と位置づけられ, 2001年のバイオテロリズム発生以降は, それら菌株の移転, 管理, 保存, 研究に制約が加わるようになってきました. 病原真菌も同様です. そこで小川秀興理事長と学術集会委員会の御企画による知的財産に関する教育講演に加えて, カルチャーコレクションに関するポスター発表も企画致しました.

医真菌学会会員はもとより関連領域学会の会員, 学生の方々にも広く御参加いただけますよう御案内致しまして, 千葉大学真菌医学研究センターの関係者一同, 皆様方の御参加を心からお待ち申し上げております.